ブレラ美術館
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ミラノ4日目は、昼頃ブレラ美術館に来ました。
この建物は、もともとイエズス会の施設だったそうですが、
18世紀には女帝マリア・テレジアの所有となり、美術学校が創設されました。
19世紀にはナポレオンによって美術館として開館します。
なんとナポレオンの誕生日に開館したそうです!
現在は一階が美術学校、二階が美術館となってます。
二階への階段を上がるとチケット売り場がありますが、知らずに一階にある案内にしたがって進んで行くとどこにもチケット売り場が見当たらず、近くのおばあちゃん(観光客)と一緒に迷子になってました( ˙-˙ )
主な作品10点とエピソード
ナポレオン像
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入ってすぐ正面に見えるのが、カノーヴァ作「平和をもたらす戦いの神マルス」です。
最初の中庭にもありますが、中庭にあるものには右手の玉に「羽のある勝利の女神」が乗っています。
これはナポレオンのお抱え彫刻家であった、アントニオ・カノーヴァがナポレオンに作ったのですが、当時ナポレオンは服を着せれないかと頼んで、断られたそうです笑
聖母の婚礼
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こちらはラファエロの「聖母の婚礼」です。
21歳の時に祭壇画として描いた作品で、
モチーフにされてるのは、聖母マリアとヨセフが出会う場面です。
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天使より「国中の独身者に一本の杖を持たせ、杖の先に花の咲いた者を夫として選べ」というお告げを受け、14歳のマリアのもとに独身者が集められます。
見事杖の先から百合が咲き、選ばれたヨセフがマリアに指輪をはめようとしている瞬間ですね。
それぞれの背後には5人の男性と5人の女性が描かれていますが、
女性陣の手前の人綺麗すぎませんか^ ^
後ろに描かれているのはエルサレムの神殿です。
エマオの晩餐
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カラヴァッジョの「エマオの晩餐」です!
カラヴァッジョの描いた「エマオの晩餐」は2点あり、1つはロンドン・ナショナル・ギャラリーにありますが、私はどちらかと言うとこちらの方が好きです。
これはロンドンのより後に描かれたもので、殺人を犯しローマから追放されたカラヴァッジョが、各地を逃亡中に描いたと言われています。
描いた時の状況が大変だったからでしょうか、前の「エマオの晩餐」より人物の動きが静かになり、描かれている食べ物も質素で、影が濃く全体的により暗い印象です。
ですが、影が多いので光が強調されて見えますし、人物の動きがダイナミックで無いぶん自然に見え、神の子を前にした弟子たちの緊張や厳かな雰囲気が伝わってくる作品だと感じました。
写真などで見ると真っ黒ですが、実物はそれほど暗い印象では無いです!
柱に縛られたキリスト
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ドナト・ブラマンテの「柱に縛られたキリスト」です。
日本語名がわからないのですが、英語では「Christ at the Column 」もしくは「Christ Tied to the Column」なので直訳しました。
ドナト・ブラマンテと言えば、先日のだまし絵教会や「最後の晩餐」のあるサンタ・マリア・グラツィエ教会のほか、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂の建築に携わるほどの大建築家ですが、そんな彼も若い時は画家を目指していたそう。
ドゥオモ、スカラ座、だまし絵教会とアンブロジアーナ図書館。ミラノ1日目!
残っているのが奇跡の絵画、最後の晩餐。
だまし絵教会の絵も素晴らしかったですが、この作品もとてもリアルでCGのような印象を受けました笑
なぜか少し現代風に見えます。
ハガルとイシュマエルを追放するアブラハム
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グエルチーノ の「ハガルとイシュマエルを追放するアブラハム」の一部です。
全体が見たい方すみません^^; この絵の女性の表情や涙がとても綺麗だったので、アップでとってしまいました💧
頬に流れる涙も、赤くなった目もとてもリアルじゃないですか?^ ^
どんな場面を描いている絵なのか知らなくて、調べてみたら結構面白かったです!
題名にもあるアブラハムは、アダムとイブの子孫に当たる人物で、
アブラハムにはサラという妻がいましたが、なかなか跡取りが生まれず困っていました。
そこでサラは女奴隷のハガルを夫に差し出し、ハガルは息子イシュマルを産みます。
無事跡取りが生まれ、めでたしかと思ったらその後も色々あるんですね、
なんと90歳にして、サラはアブラハムとの子供イサクを授かります。
正妻にれっきとした息子が生まれたので、ハガルとイシュマルが邪魔になり、サラは2人を追放するようにアブラハムに言います。
そこでアブラハムがハガルとイシュマルを追放している場面が、この絵画のモチーフになっている場面です!
追放され荒野をさまようことになったハガルとイシュマルの悲しさが、とても伝わってくる絵でした。
知らなかったのですが、とても有名なエピソードでたくさんの絵画のモチーフになっています。
キリスト以前の話はまだまだ知らないことばかりです、、。
最後の晩餐
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ルーベンスの「最後の晩餐」です。
ルーベンスはレオナルドの「最後の晩餐」を模写したり、影響を受けていたそうですよ。
彼独特の繊細なタッチで、主役であるキリストとユダに自然と目が行きます。
この絵でもっとも注目されるのはユダであると思います、
こちらを見つめるユダの眼は、何か問いかけているかのようです。
足元にいる犬にもさまざまな解釈がありますが、私は忠誠心を表す犬に骨をくわえさせ、欲望に負けた忠誠心を表していると解釈しています。
無原罪の御宿りについての議論
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ジローラモ・ジェンガの「無原罪の御宿りについての議論」という作品です。
無原罪の御宿りとは、聖母マリアが母である聖アンナの胎内に宿った時に、無原罪(罪や汚れがなかった)だったというキリスト教の教義です。
聖母マリアは胎児であったとき神のはからいで原罪を免れ、そのために原罪を取り除く存在である神の子キリストを宿すことが出来たとか、。
この概念についてはとても難しくいろんな見解があり、キリスト教の中でも微妙な違いがあるみたいです^^;
ちなみにこれはカトリック教会でのみ正式に肯定されており、プロテスタントなどでは否定されているそうです。
ジローラモの絵は、聖母子を中心に聖人たちが議論している様子でしょうか。
上の天使が散らす花が舞っていて、華やかで惹きつけられる絵でした!
接吻
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フランツェスコ・アイエツの「接吻」です。
ブレラ美術館でとても人気が高い絵画の1つで、制作された当時もとても反響があった作品です。
実はこの絵は、当時の ”プロンビエールの密約” を暗示しているそう。
”プロンビエールの密約” とは、イタリア統一戦争の際にイタリア(サルデーニャ王国)とフランスが結んだ密約で、結果イタリアはオーストリアに勝ちます。
赤いタイツの男性がイタリア、青いドレスの女性がフランスを表し、秘密の接吻(秘密協定)をするという、意味深な絵なのですね。
ちなみにアイエツは、1850年にこのブレラ美術館の館長にもなっています。
憂鬱な予感
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ジェロラモ・インドゥーノの「憂鬱な予感」です。
こちらも勝手に訳しました^^; 英語名は「Doleful Premonition」です。
この絵は、上記のアイエツの「接吻」の隣に飾られていました。
よく見ると背景にはその「接吻」が飾られているのが分かります!
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この「接吻」と横の「ガリバルディ(イタリア統一運動に貢献した軍事家)の胸像」、窓に貼られた戦闘が描かれた絵などは、ベッドの少女が戦争で戦っている人を考えていることを意味しています。
ジェロラモはのちに細部が異なる同じ絵を描き、「ガリバルディーノの婚約者」と題しています。
死せるキリスト
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アンドレア・マンテーニャの「死せるキリスト」です。
ブレラ美術館の中で、最も有名な絵画の1つではないかと思います。
マンテーニャの代表作であり、短縮遠近法という技法を用いて、横たわるキリストを足元からの視線で描きました。
処刑されたキリストを前に、横では聖母マリアと聖ヨハネ、マグダラのマリアが悲しんでいる様子が見えます。
この作品はマンテーニャ自身の墓のために描かれたと言われており、彼の死後息子によって発見されるも、借金があったために売られてしまったそうです。
まとめ
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紹介した絵画以外にも、有名な作品素晴らしい作品がたくさんありました。
書ききれないので一部しか載せれませんが、
ブレラ美術館へ行く機会があれば、ぜひゆっくり時間をとって鑑賞してみてください^ ^
そして、絵画の前から意地でも動かない熱心な鑑賞者が多々いたため、見づらい写真が多くなってしまいましたが、ご了承下さい笑
ブレラ美術館のあとは、ミラノのローカルグルメを堪能します〜♪
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